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何回も読み返してしまう仮想戦記 [読書]

以前、勤めていた会社の人に「仮想戦記ですけど、めちゃくちゃ面白い本がありますよ」と薦められた小説があります。

そこで出会った本が、佐藤大輔/著の「征途」(全三巻)でした。
あまり仮想戦記物は読んだことが無かったのですが、会社の人と旧海軍の艦艇について話をしていた時に薦められ、数日後には渡された記憶があります。 早速読み始め、見事に吸い込まれてしまいました。 以後、事あるごとに読み返してしまいます。

征途 (上) 衰亡の国
物語は1995年の宇宙往還機の場面から始まりますが、そこから1944年まで溯り太平洋戦争に話しは移って行きます。 そしてレイテ沖海戦にて史実とは違う展開となり、戦艦「大和」と日本の運命が大きく変わっていきます。 前半部分を読み終えた所で、「大和」「武蔵」が生き残り、またアメリカ軍との戦闘部分の描写に帝国海軍魂を感じ心打たれた所がありました。 レイテ沖海戦にて砲術長として「大和」に乗艦し、流れ弾の被害にて艦長以下、司令部の面々までも戦死した後に「大和」の指揮を取った帝国海軍中佐の藤堂明。 この藤堂一家と戦艦「大和」が物語の中心となります。 シブヤン海海戦にて戦艦「長門」が沈み、「武蔵」が生き残った事により戦艦「武蔵」が沖縄特攻に向け、呉を離れる描写には複雑な思いがありました。

征途 (中) アイアン・フィスト作戦
史実と違い、上巻での海戦にてアメリカ軍が受けた打撃は大きく、日本侵攻が遅れたことにより北からソビエト連邦が侵攻し(アメリカ合衆国も絡んでいるが)、日本は二つに分断された戦後からの話となります。 二つに分断された日本はお互いの国の復興と統一を目標として、北海道戦争、ヴェトナム戦争等の戦いにおいて、激しくぶつかり戦って行きます。 「大和」は改装され、超甲型警備艦→超大型護衛艦(艦番号BB-11)へと改装を進め、自らの正義の為に戦火の中へ進んでいきます。 レイテ沖海戦にて「大和」の指揮を取り、その後「武蔵」艦長として沖縄特攻へ向かった藤堂明の二人の息子も分断されたお互いの日本で軍人・自衛官として戦場で戦い、戦争の道具として再会を果たします。 会談中に北海道にて起きた事件により、再会を果たした兄弟は、再びお互いの日本に向け別れてしまいます。悲しい再会であったと思いましたが、共に軍人としての誇りと決意が現れていたと思います。

征途 (下) ヴィクトリー・ロード
物語はいよいよ最終巻に入り、時は流れ湾岸戦争へ舞台は移ります。 イージス艦へと進化した「大和」や現実には存在しない空母など、日本はアメリカ合衆国と共に戦闘を行います。 人民空軍総司令官となった兄、父に続き「大和」艦長となった弟、それぞれの日本、それぞれの思いを抱きながら戦争は続けられていきます。 その後、弟は第二航空護衛隊群司令となり海将補として退役後を妻と相談するような日々を迎えていたが、兄の居る北の「日本」は独裁者の死が発端となり、クーデターによる統一戦争が勃発。 兄弟は再び戦火の中へ向かって行きます。 失う物は何も無くなった兄は、本当の祖国統一に向けクーデターの中である決意を持っていた。 統一戦争の中で「大和」へ一本の通信が中継される。 真の統一を考える兄は「大和」の護衛隊指令の弟に情報を伝え、戦争を終結させるべく艦砲射撃を行わせます。 戦時中での相手不明の通信、兄と弟がお互いを分からず最後の会話となり、「大和」の艦砲射撃により通信が切断された場面を読んだ時、戦争の虚しさと祖国に対する人々の思いを考えさせられました。 統一戦争後、場面は宇宙往還機の離陸の場面に戻り、藤堂家の海の歴史と子供達の未来への希望を持たせ、物語りは終わりを告げます。 この物語を読み終わり細かい所では矛盾があると思いますが、各巻共に時代設定と戦闘等の描写は上手く作られていると思いました。 読み終わった後、感情移入しすぎてしばし放心していました。

「征途」を読み終えた後、、会社の人からは「未完のシリーズであれば、まだまだありますよ」と悪魔のささやきで佐藤大輔氏の仮想戦記にどっぷり浸かる事になりました。 帝国海軍が強く書かれて嫌な思いをする人は少ないとは思います。 ただ私にはあまり話をしてくれなかったが、帝国海軍の軍人であった祖父が亡くなる前に、本当の話をもっと聞いておけば良かったと後悔しています。
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